「介護から逃げたい」——その言葉が頭に浮かんだとき、たいていの人はすぐ打ち消します。私もそうでした。そんなことを思ってはいけない、と。でも、浮かんでくること自体が、余裕が削られているという合図でもあります。ここでは、逃げたいと感じたときに何を分けて考えればいいのかを、順番に書いていきます。
私がその言葉を自覚したのは、夜中の見守りが続いた週の終わりでした。翌日の仕事のことを考えながら、ふと「ここから出たい」と思っている自分がいて、そのあとで強い自己嫌悪が来ました。
ただ、あとから振り返ると、その言葉の中身は一つではありませんでした。二度と戻らない毎日を手放したくない気持ちと、このまま自分の生活が無くなっていく怖さが、同じ場所で混ざっていたのです。混ざったまま自分を責めると、何も動かせなくなります。
ノートに、逃げたいと感じた場面を日付ごとに書き出しました。読み返して印をつけると、おおむね3つに分かれました。
分けてみると、対処の入口がそれぞれ違うことが分かりました。疲れは休み方の話、孤立は相談先の話、見通しのなさは役割分担の話です。
すべてを自分でやると決めてしまうと、逃げ場が消えます。逆に全部を手放すのも現実的ではありません。私がやったのは、紙を4列に分けて書き出すことでした。
線を引くと、逃げではなく設計になります。線がある人は、どこまでなら持ちこたえられるのかを、自分で決められるようになります。
相談先を調べ始めたとき、最初に混乱したのがこの違いでした。
市区町村の窓口で申請し、要介護認定などの手続きを経て、ケアプランに沿って利用する流れになります。使える範囲や自己負担の割合は、住んでいる自治体や認定の内容によって変わります。
24時間の見守り、家事代行、買い物の付き添いなど、営業時間や曜日に縛られにくいものがあります。そのぶん費用は全額が自己負担で、料金体系は事業者によって差が大きいです。
どちらが上という話ではなく、何時・何曜日に困っているかで使い分ける感覚でした。使える条件や手続きの細かい部分は、自治体の窓口・地域包括支援センター・担当のケアマネジャーなどに確認してください。
話し合いというと身構えてしまいますが、決めておくと後が楽だったのは次の4つでした。
これは結論を出す会議ではなく、事実をそろえる場です。感情の話は別の日に回しました。同じ日に詰めると、用件にたどり着く前に疲れてしまうからです。
相談先は、目的ごとに分けました。制度や手続きのことは自治体の窓口、地域の支援の調整は地域包括支援センター、日々のケアの組み立てはケアマネジャー、気持ちのつらさはよりそいホットラインのような相談先です。一度に全部を解決しようとせず、1回の相談で1つだけ聞くようにしました。
記録は、自分を責めるためではなく、状況を第三者に説明するための材料になります。メモを見せるだけで伝わる状態にしておくと、相談のたびに話し直さずに済みます。
制度の相談と並行して、時間帯を選ばずに頼める選択肢を知っておくと、逃げ場の作り方が具体的になります。まず話を聞いてもらうだけでもかまいません。
介護サービスの無料相談を申し込む相談は無料 / 費用・条件は申込先の案内によります相談は無料で受けられますが、対応してくれる範囲や連絡の方法、費用の内訳は各社の案内によって異なります。申し込む前に条件を確認しておくと安心です。
「逃げたい」と思ったことを、自分の弱さとして数えなくて大丈夫です。私は、その言葉を認めた日から、やっと人に頼れるようになりました。距離を取ることは、関係を切ることとは少し違います。今日は無理をしないことだけ決めて、残りは明日に回しましょう。
※ここに書いたのは私個人の実感とやり方です。制度の内容や使える条件は、住んでいる自治体や認定の状況によって変わります。手続きや利用できるサービスの詳細は、市区町村の窓口・地域包括支援センター・担当のケアマネジャーなどに確認してください。眠れない、食べられないといった状態が続くときは、よりそいホットラインのような公的な相談先も頼ってください。